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60年程前(戦前)までは、多くの一般民家はそれぞれの地域に居を構える棟梁が手掛けていました。その時代までは現在の様に大資本のハウスメーカーや企業化された工務店も有りませんでした。 きわめてシンプルに、施主と棟梁、それと地域によっては家相及び厄廻り等を判断して建物の間取り等までも指示する、さしずめプロデューサー的立場の人物、今でみればその役割は、設計者(建築家)に置き換えられるでしょう。 それらの人物が、それぞれの立場で業務を遂行し「正統な報酬」を得て生業としていました。その最も合理的とも云えるシステムによって「知識、技術、技能」の伝承が成されて来たのは云うまでも有りません。 しかし残念ながら今の時代は、その優れた知恵のシステムが完全に「崩壊そして消滅」の危機に有ります。同時にその事は、正統な技能、技術の伝承が困難になる事を意味します。いや、すでに困難になり「本来の大工」と云える職業は今まさに「レッドデータブック職業」なのです。 その事実を多くの方々に知って頂き、その事を踏まえて広く木造建築に関心を持って頂ければ幸いです。

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原点回帰をテーマとして、小生なりに「棟梁の家づくりの姿」を求め模索し続けて10年以上が経過しました。厳しい環境状況の中で実践し、それなりの実績を基に小生なりに精査した結果、現状の中にあっても可能であると判断致しました。 大工職人は何とか工務店でも育てられます。しかし、棟梁は棟梁でなければ育てる事は出来ないのです。現在の社会状況の中で、理解され受け入れられる新たなシステムの構築が最も重要な事と考えます。

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新たなシステム構築を試みる為に自店では「直営分離発注方式」で施工しています。 直営方式での施工というのは、実は新しい方式ではないのです。数十年前までは民家の建築と云えば殆どこの方式でした。いわゆる「旦那仕事、旦那普請」と呼ばれるものです。 しかし今、原点回帰とは云え其のままそっくり模倣する事は出来ないのです。なぜなら本来の直営方式とは「完全自己資金の出来高報酬制」だからです。いわゆる「時間や工事代金にとらわれない普請」なのです。自店の施工方式は、その直営方式を時代感覚に合わせアレンジ したものです。
以下に自店の取り組み方、運営手法を具体的に記して見ます。

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  • この方式で最も重要な事は「クライアント」「アーキティクト」「マスタービルダー」三者の信頼関係です。常に合議と合意を優先します。
  • 基本的には図面主義を最優先し、予算上限を設定しその中でどれだけの工事が出来るものか、各工事の予算調整を行い適正な金額を算定していきます。しかし、そこに至るまでは上記三者は勿論、係わる職方含め知恵の総動員です。
  • 図面に基づく工事予算がしっかり組まれてから、工事項目ごとに分離発注となります。 但し、自店の方式は「棟梁が予算のケツを取る」たとえ分離発注であっても「発注指示、 請求書確認精査、支払い指示、施工確認等」クライアントの代行として、自店の現場施工と供に同時に業務運営を行います。なぜか?「良質な工事は、最良な流れ」で決するからです。棟梁にあれば「最良な工事の流れ」をつくり出すのも一つの仕事だと考えます。
  • 多くの工事業者が係わる家づくりに於いて、業者の選定に際しては何が大切か?  自店では「人が一番大事」です。ですから「合見積もり」は一切取りません。
    棟梁として「この業者であれば」と思えば、頭を下げればいいんです。
    そうすれば「知恵も出してくれるし、工夫もしてくれます」その事で予算も下げられるのです。